契約結婚とは。婚前契約って?

 

近年、「契約結婚」に注目が集まっています。きっかけとなったのは、2016年に放送されたドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』

このドラマではお互いに恋愛感情のない二人が、それぞれのメリットのために契約上の結婚をするというもの。ドラマの中では二人に徐々に恋愛感情が芽生え、最後は本当の愛し合う夫婦となりましたね。

そしてそして、このドラマで共演したお二人、星野源さんと新垣結衣さんは2021年、本当に結婚されました!

このドラマの中のお二人は結婚の意思がなかったのですから、「契約結婚」というよりも「偽装結婚」と言った方が良さそうですが、「契約結婚」というのは何も愛情のない二人が交わす結婚とは限りません。

そもそも結婚自体、法律上の「契約」ですから、それをきちんと書面にしておくだけのこと。「契約結婚」というとなんだか愛情のない結婚のように思えてしまうかもしれませんが、要は「婚前契約」を交わす結婚=「契約結婚」ということですね。

さてさて、それでは「婚前契約」とはどのような契約なのでしょうか。

「婚前契約」とはお互いの価値観を深く知ることで、結婚後の生活をより良いものとすることを目的としています。つまり、「価値観の棚卸し」ですね。

結婚生活におけるテーマはたくさんあります。結婚後、奥さんは仕事を続けるのか、家庭第一で仕事をセーブして家事育児に集中するのか、子どもは何人作るのか、子どもの教育はどうするのか、お金はどちらがどのように管理するのか・・・

どれも大切なことであり、人それぞれ価値観は違って当たり前ですから、ただ何となく相手も自分と同じような考えだろうと思っていたら、結婚後とんでもないことになりかねません。結婚前にじっくりと話し合っておくのが当然ともいえることかもしれませんね。

 

たとえば奥さんの仕事。近年、育休制度もあり育休明けの時短勤務を子どもがかなり大きくなるまで使える会社も増えています。結婚し子供を産んでも会社を辞めずに働き続けられる環境が整ってきているのです。

ですので夫婦ともに奥さんの仕事継続を望む人もいると思うし、妻側が「私は器用ではないので仕事を辞めて育児に専念したい」という場合もあるでしょう。そのあたりを結婚前にきちんと話しておかないと、旦那さんは当然奥さんも働いてくれると思っていた場合、問題になりかねません。

お金の管理も昔は妻が夫のお給料をすべて管理するという家庭も多かったのですが、近年はそうではなくなっています。子どもに関しても考え方は様々です。

 

結婚するからと言ってお相手も価値観が自分と同じなどと思うことが、そもそも違うのです。

「自分とは違う価値観」という前提を持っていれば夫婦の不仲もなくなります。本当の意味で「お互いを知る」それが婚前契約であり、「契約結婚」ということになります。

契約結婚のメリット

それでは契約結婚をするとどんなメリットがあるのでしょうか。

・「税金面での優遇」これは契約結婚に限らず、結婚という法律上の契約を交わした場合のことですね。配偶者の所得が38万円以下(給与収入が年間103万円以下)であれば相手の所得から38万円が差し引かれます。

103万円を超えても201万6,000円までは段階的に配偶者控除が適用されます。また給与収入が130万円未満の場合、自分で社会保険に加入しなくても配偶者の社会保険が適用されます。年金や健康保険料を自分で払わなくてもいいということです。

よく妻が「夫の扶養内で働く」と言っているのを耳にすることがあると思いますが、それはこれのことですね。

国民年金や国民健康保険を自分で払うと年間で30万くらいにはなりますから、160万円以上稼がないなら扶養の範囲内で働くのがお得ということになります。

・「自分の役割を認識し、対等の関係ができる」契約結婚の場合、最初からお互いの役割分担ができています。家事はどうするか、仕事は子育ては?と言ったことを明確に文書に記していますので家事の押し付け合いで喧嘩になることも少ないのではないかと思います。対等の関係でいられるというのが大きなメリットと言えますね。

・「口約束にしない」結婚前というとお互いに一番盛り上がっているとき。ですから結婚後の生活についてもついいいことばかりを言ってしまいがちです。結婚してから「前に言ってたことと違うじゃない!」となりかねない。そんなことにならないように、また相手の本気度を知るためにも契約書を作成し、きっちりと文書にして残しておく必要がありますね。

・「離婚のときに楽」あまり考えたくないことでしょうが、結婚したら離婚もあり得ます。離婚に関しても事前に取り決めを行っておくことで、離婚時にあまりもめることなくスムーズにことが進められると思います。子どもの親権はどうする、家を買った場合離婚時にはどうする、子どもの養育費はどうするなどなど。ドロドロの離婚劇にならないためにも、この項目は重要かもしれませんね。

 

〇契約結婚のデメリット

 

契約結婚にはメリットもあればデメリットもあります。デメリットとしてはどんなことがあるのでしょうか。

・「ラブラブムードに水をさす事務手続き」これから結婚するラブラブの二人。でもそのさなかに片方が「婚前契約を結びたい」と言って書面を差し出したら・・・契約結婚することは決めてあったとしても、ちょっとラブラブムードに水をさす感じにはなってしまいますね。

片方が契約結婚にそれほど乗り気でない場合、「そんなに自分のことが信用できないのか」と思われてしまいかねません。契約結婚を考えるなら、交際中からその必要性を説明し、結婚生活を円滑にするためというプラスのイメージを持ってもらえるよう努めましょう。

・「恋愛感情が生まれた場合」お互い好き同士での結婚なら良いのですが、恋愛感情なしの契約だけの結婚の場合、どちらか一方にもしも恋愛感情が生まれてしまったら悲劇ですね。片思いしている相手と同じ家に住み続けるのは、離れているより辛いことかもしれません。ドラマのように二人が同時に好きになれば一番なのですが・・・

 

これまで契約結婚について長々と述べてまいりましたが、要するに契約結婚とは、夫婦が結婚について取り決めた内容をまとめた契約書=婚前契約書を取り交わし、結婚生活の指針とする結婚のことです。

契約書に明記すべき内容としては

①結婚後の仕事について

②結婚後の家事分担について

③家計の管理について

④育児の分担について

⑤子どもの教育方針について

⑥親族との付き合い方について

⑦離婚の際の条件について

などがあります。どれも結婚生活において重要なことですので、是非とも「婚前契約書」に明記してほしいですね。

 

まとめ

今日は契約結婚=婚前契約について述べましたが、実はまだ続きがあります。

婚約のときに交わす「婚約契約」、入籍はしないで事実婚を選択する場合の「事実婚契約」

次回はこれらについて説明をしていきたいと思います。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました(*^-^*)